ヘリコバクター・ピロリ菌とは?
ヘリコバクター・ピロリ菌とは胃の粘膜に棲む細菌で、感染すると慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、そして胃がんのリスクを高めることがわかっています。どのようにして感染するのかはっきりわかっていませんが、口からの感染が大部分だと考えられていて、衛生環境が整っていなかった時代に生まれた60歳以上の高齢者で感染が多くみられます。一方、若い年代での感染は減少傾向にあります。
胃がんのリスクを高めます
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となることがよく知られていますが、それ以外にも胃がんとの関連性が指摘されています。感染した方がすべて胃がんになるわけではありませんが、10年間で胃がんになった人のうち、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していない人では0%、感染している人では2.9%という報告があります。
こうしたことから、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査・除菌治療は、胃がんのリスクを低減させるために大切なものとして、積極的に受診することが推奨されています。
保険適用で除菌治療が受けられます
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているかどうかは、検査により高い精度で確認することができ、感染が認められた場合には、お薬を使った治療で除菌することが可能です。なお。胃カメラ検査を使って検査を行ってヘリコバクター・ピロリ菌の感染が認められ、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍と診断された場合には、2回まで保険適用で除菌治療を受けることができます。
ヘリコバクター・ピロリ菌の検査
ヘリコバクター・ピロリ菌の検査方法は、大きく内視鏡(胃カメラ検査)を使用する検査と、使用しない検査に分けられます。保険適用で除菌治療を受けるためには、内視鏡による検査が必要となります。
尼崎市の細見医院では、複数の検査方法を組み合わせて、より高い精度でヘリコバクター・ピロリ菌の感染を確認するようにしています。また、特定健診などの健康診断を受けに来られた方に、胃がん予防のために追加で検査をおすすめするなどして、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査・除菌治療に力を入れて取り組んでいます。
内視鏡(胃カメラ検査)を使用する検査
迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌の酵素から生成されるアンモニアの量を確認して、感染の有無を診断します。
鏡検法
採取した組織を染色して顕微鏡で観察し、感染の有無を診断します。
培養法
採取した組織を培養して、感染の有無を診断します。
内視鏡(胃カメラ検査)を使用しない検査
抗体測定
血液や尿を採取してヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗体を調べて、感染の有無を診断します。
尿素呼気試験
お薬を飲んで一定時間経過した後、呼気を調べて感染の有無を診断します。
便中抗原測定
便を採取してヘリコバクター・ピロリ菌抗原があるかどうか確認します。
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療
内視鏡(胃カメラ検査)を使用した検査を受け、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が認められ、さらに慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍と診断された場合には、2回まで除菌治療が受けられます。除菌治療はお薬を使って行いますが、除菌の成功率は高く、多くの方が2回までに除菌に成功されています。
1.ヘリコバクター・ピロリ菌の検査
各種検査を行って感染しているかどうか確認します。感染が認められない場合には、除菌治療は必要ありません。
2.一次除菌治療
胃酸を抑えるお薬や、2種類の抗菌薬を使って除菌治療を行います。お薬は1日1回、7日間飲み続けます。
3.除菌治療の評価
除菌治療から4週間以上あけて、除菌に成功したかどうか評価します。除菌できていれば治療は終了となります。除菌できなかった場合は、2回目の治療に移ります。
3.二次除菌治療
胃酸を抑えるお薬と、2種類の抗菌薬(1つは1回目の除菌治療で使用したのと違うもの)を使って除菌治療を行います。1回目同様、お薬は1日1回、7日間飲み続けます。
4.除菌治療の評価
除菌治療から4週間以上あけて、除菌に成功したかどうか評価します。除菌できていれば治療は終了となります。除菌できなかった場合は、3回目の治療を検討します(自費診療)。